早期関節リウマチの診断は必ずしも容易ではない。特に2010年に発表されたACR/EULARの関節リウマチ(RA)の基準は、腫脹を重きにおいていないため、更年期の関節症状との鑑別が最重要である。しかし一般にリウマチ専門医はこのことに気付いていない。検査をしても炎症がなく(CRP 陰性)、RA陰性であれば、リウマチではないが、様子を見ましょうと言われてしまう。症状がきついと、更年期女性(45歳~55歳)は専門病院を転々とする。本院ではCRP陰性であれば、リウマチ因子(RF)が陽性でも、レントゲン写真で、骨ビランがなければ、ホルモン補充療法(HRT)を行う。
この方法で、数年後にRAを発症する可能性を10%以下に抑えることができる。もししなければ、数年後に50%RAになるのである。
また発症6ヵ月未満の早期RAでは、その患者さんの血液検査所見を確認して、生物学的製剤を選択している。これによってほぼ90%に完全寛解、さらにバイオフリー、治癒に持っていけるのである。本院ではこれまで生物学的製剤を100名以上実施しているが、10例近くがバイオフリーとなっている。腫瘍壊死因子(TNF)αとIL-6はともにRAの関節症状、病像形成に大きな相違があるが、それを意識して治療しているところは少ない。早期RAと診断するには、更年期関節症状をしっかりと除外しておく必要がある。
内科、リウマチ科、小児科
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午前 9:00~12:30 | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | ○ | - |
午後 13:30~15:00 | ○ | ○ | - | ○ | ○ | - | - |
休診日:水曜午後・土曜午後・日祝日
宮地清光
院長は膠原病の診断に欠かせない抗核抗体分析の専門家で、日本でいち早く二重免疫拡散法を取り上げ、抗核抗体(ANA)のSpeckled typeを解析し、その成果を認められ、アメリカSanDiegoのScripps Clinic Research FoundationのDr.Tan(世界最高峰)に師事した。その後もその教えを守り自己抗体の研究に従事し、原発性胆汁性肝硬変(PBC)の自己抗体に関する英文医学誌への投稿(first author)は数多い。
早期RAまたestablishedRAへの生物学的製剤の使用方法は独特で、TNFα阻害剤(エンブレル、ヒュミラ、ゴリムマブ、レミケード)が効かないとアクテムラを使うというような方法はとらない。サイトカインであるIL-6とTNFαはその機能はことなっているので、その相違を血液検査からどちらのサイトカインが優位であるかを見極めて決定している。
日本リウマチ学会の指導医、登録医、認定医であり、また横浜リウマチ膠原病研究の代表世話人、第66回神奈川リウマチ医会(H24.7.7)の会長を歴任した。
2001年、更年期関節症状を早期関節リウマチと誤診して以来、鑑別に更年期関節症状を的確にできる力を持たなくてはいけないことにきづいた。更年期と加齢のヘルスケア学会と、日本女性医学医学会(旧日本更年期医学会)に所属し、研さんを重ね、2011年には日本女性医学学会の更年期認定医の試験に68歳で合格した。内科医で試験を受けて合格したのは数少ない。本院の特徴は、一般の更年期症状を緩和するだけでなく、これから関節リウマチになりそうな方に、HRTを施行しその発症を抑えていることだ。すでに膠原病、リウマチの患者さんが、さらに新たに次の自己免疫病の発症を抑えるのにHRTは有効である。もちろん患者さんの同意を得てのことである。