2016年2月17日
リウマチ、その他の膠原病は、遺伝しますか?
非常によく聞かれる質問です。これらの自己免疫病の発症は単一な原因で起こるのではありません。
まずなりやすい遺伝子〈感受性遺伝子〉が想定されます。そしてその遺伝子の特定の場所は、病因ペプチドを 認識する場所になっています。
次は感染です。外から入ってくるウイルス、細菌、マイコプラズマありますが、体の中に寄生している腸内細菌があります。
ここではっきりしなくてはいけないのは、遺伝子だけでは、あるいは感染だけでは発症しません。いろんな感染症があるので病因ペプチド多数あり、それを認識する場所〈多くはHLADRB1〉は、人種、個人で異なっています。その出会い〈カギと鍵穴のように〉は非常に限られてきます。したがって一生その出会いがなく、発症しないことが多いのです。
しかし偶然その出会いがあるとリウマチ因子〈RF〉、抗核抗体(ANA)が陽性になります。隠れリウマチとか、隠れ膠原病と私は呼んでいます。感染が強かったり、弱くても持続的だと、発症してしまうことがあります。 男のかたに多いのではと思います。
隠れリウマチ、隠れ膠原病という状態は、妊娠分娩後1年以内、更年期のようにエストロゲンが低下、枯渇状態で、発症すると説明しやすいです。
遺伝子は大いに関与していますが、その他の因子である感染症がさらに関与し、この出会いで発症しないと 〈隠れという状態で存在し〉、エストロゲンの低下が助長発症に関与していると考えています。したがって20%しか関与していないといわれています。
更年期以後のHRTを65歳まで施行することで、20~30年後の総人口が100億人とすると約5000万人の自己免疫病の発症防ぐことが可能ではないかと思っています。
本院では30人ぐらいの隠れリウマチ、20名ぐらいの隠れ膠原病の治療にホルモン補充療法を施行しその効果が出ていると思います。