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45歳以降 閉経前の女性の関節痛

2016年3月14日

生理がなくなる時期は平均50歳といわれている。この数年前を閉経周辺期というが、女性ホルモン、特にエストロゲンの増減の波と、そのサイクルが次第に低下していくことが、関節内の軟骨、骨に微妙な変化をもたらし、関節の痛み、腱の弾力性が失われてくる。これを閉経周辺期の関節の痛み(peri-menopausal arthralgia, PeMA)と私は呼ぶことにしました。この時期の治療は、まだ確立していないが、Tocopherol N(ュベラN) 600mg/日を投与してよい効果が得られていると思います。

 

 実はこのお薬を使おうと思った理由は、いまから40年以上前に見聞きしていたからです。

私が医師になり、最初に赴任した宇都宮済生会である内科部長先生が、多くの更年期前後の女性にこのお薬を使っていたからです。何のためにこのお薬を使っていたのか、うっすらと記憶にのこっていました。40年前に先生が学会で発表していた記録を探したところ、予想していたとおり、生理不順に使用していたのです。この薬を使うことにより、低体温が持続し生理が来ない方が2相性になり、生理が規則的にくることが証明されていました。その当時は残念ながらエストロゲン、プロゲステロン、卵胞刺激ホルモン(FSH)が証明されていませんので証拠が十分ではありませんが、婦人体温表と生理の周期でこの薬の効果を推定しているのです。おそらく卵巣機能不全が、この薬で改善したのですが、私はその証拠を2つのホルモンを図ることで、証明することが出来ました。2013~2015年に関節痛で初診された方280人のうち、50人くらいが閉経周辺期の方で、ユベラNを使用していました。私もまだ確証もなかったので納得させることができず、20人くらいの方が、1か月も飲まないで、もう2度と来院していないのです。30人くらいの方は半年近く受診されていました。驚きました。この方たちは明らかにエストロゲンレベルが上昇し、FSHが有意に下り、患者さん自身の痛み程度(Patient-VAS)が有意に下がっていました。ユベラの効果はこの時期に使用するとその効果がはっきりしますが、そうでないとその効果は判然としないのではと思います。

このデータは今英語論文に書いていますが、1年以内に発表したいと思います。

 

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