2016年4月2日
本院では閉経後の朝のこわばり、関節のいたみなどで多くの方が診察に来られています。
整形外科、リウマチ内科の診療所、さらに大学病院での専門外来に通院され、まだ関節リウマチとは言えないので、様子を見ましょうといわれてしまう。この痛みは何だろうと思いついドクターショピングにはしってしまう。これが現状です。
赤沈、CRPといった炎症反応がなく、リウマチ反応、抗CCP抗体も陰性でも、関節がなんとなく痛い、こわばりもあるのであれば、まず更年期関節症状を疑うことが大事です。もし更年期関節症状を完全に除外できるのであれば、もちろんリウマチ専門医を受診すべきです。2か月長くとも、6か月のホルモン補充療法(HRT)で、簡単に診断できるのです。
しかしリウマチ反応(RF)、もしくは抗CCP抗体が陽性であれば、将来2~5年後に関節リウマチになる可能性が40~90%になりますから、私はHRTを5年間お勧めいたします。これで、発症を半分以下に減らすことができると思っています。まだHRTがRAの発症を防ぐという確固たる論文がないのだから、やめるべきだといわれる方がいましたが、最近の多くの論文を総合すれば、その可能性が高いと思いますので、認められるような論文(エビデンス)を早く出したいと思っています。
まだ関節リウマチ発症の原因は十分にわかっていません。しかし発症が中年の女性に多いことで、女性ホルモン特にエストロゲンの低下が関与しているとすれば、HRTが有効であることは間違いないでしょう。エストロゲンの低下とRAの発症に密接な関係があることをたくさん証拠集めをしています。人間の寿命が長くなれば、RAは増えるでしょう、最近60~70歳以降にRAの発症が増えてきたことが話題になっています。そして男女比の差がないといわれていますが、ホルモンレベルで簡単に説明が出来ます。ますます私の考えが正しいことが実証されつつあります。